■ 実施例⑤ 中2女子 Eさん
中1の冬に入塾してきたEさん。
部活動に真面目に取り組む活発な子でしたが、勉強、特に数学は大嫌いなようで、テストも40点ほど。
学校の授業もほとんど聞いていないようでした。
はじめは、口を開けば「勉強する意味がわからん」「数学って大人になって何の役に立つん」といった言葉が出てきます。根元にあるのはやっぱり『わからなくて楽しくない、イライラする』でしょうか。
彼女に合う問題を、徹底的に!
学年末テストも迫っていましたが、まずやっていったのは基礎固めから。
目先のテストよりも、今は彼女に必要な計算力の育成を最優先。
まずは簡単な問題を気持ちよく解けるようにする。
テキストの問題が難しく感じたら、もっと簡単な問題を講師が自作していく。
計算嫌いを引き摺らないように、中2、中3でつまづかないように。
焦らず、ひとつひとつ仕上げていきます。
2年生になり、春期講習の期間に準備をしっかり取り組んできたおかげで、彼女の発言も少しずつ変わってきます。
「この問題余裕やで」「もっとムズいのいけんで」
講師としては、何よりもこういった頼もしい発言をしてくれることがとても嬉しいです。
あまりに難しい問題を出すと解けなくてイライラしてしまうのもお約束ですけどね。
『悔しい!』その気持ちが彼女を進化させた
そんな彼女の1番の転機は2年生の1学期末テストでした。
勉強に対する意識も少しずつ高まり、自習にもよく来るようになりました。
満を持して受けたテスト……しかし数学の結果は45点。
お世辞にも、良い結果とは言い難いものでした。
そのとき彼女の口からはじめて「くやしい」という言葉を聞きました。
「がんばったのに結果が出なくて、初めてくやしいと思った。もっと頑張らなあかん。」
その言葉を聞いた私ももっと頑張らないといけないという気持ちになりました。
テスト問題を広げて、そこから作戦会議です。
テスト勉強中には解けていたのに、本番で間違えた問題はないか。
直前にすればいいやと後回しにしたままの問題はなかったか。
考え方は合っていたのに得点できなかった問題はどれか。どこが足らなかったか……
問題を一つ一つ潰しながら見ていきます。
話していきながら、彼女も自分の中で足りていなかった点が見えてきたようでした。
自分の得点にも納得し、次は同じ轍を踏むまい!と気持ちを切り替えたようでした。
その後、彼女の数学のテストは52点→62点→86点と、まさによくある塾の広告のようなうなぎのぼりの結果を叩き出していきました。
彼女があの時放った「くやしい」という一言が、この結果を生んだのだと思います。