変身エピソード その4

■ 実施例④ 中2男子 Dくん

中学2年生の冬、D君がホームズに体験にやってきました。
塾に来る前は家庭教師をお願いしていたけど、どうも効果が見られない。
お家の方の言葉を借りれば、漢字が書けなくて、単語も覚えられない。書くのを嫌がるし、書いても覚えられない。
学校の提出物も期限内に間に合わなくて、提出できないことも少なくない。
「この子の成績では、普通科の学校も厳しいでしょうか……?正直、中学校に入る時も、普通学級に入れてよかったのかどうか迷ったんです…」
とにかく、不安で不安で仕方がないというお家の方を宥めながら、彼の授業がスタートしました。数学は30点ちょっと。学校の授業もまともに聞けていない状態だったからです。

彼に必要だったのは、ロジック!

物静かなD君でしたが、授業をしてみて気付いたのは「納得したことは抜けない。どれだけ時間が経っても定着して忘れない」ということでした。
次に、計算ミスを”しない”タイミング。
『きちんと途中式に書いて残そう』と言うと、途中式で計算ミスをする。
でも、『途中式は書かなくていいから、この瞬間だけ集中して』というと、ミスをほとんどしなくなりました。

そう、彼には書かない方が合っていたのです。

もしかして……と思った私たちは、彼へのアプローチの仕方を考えました。
まず書いて覚える…といった作業をなくす。
そして、世間一般では“覚えるだけ”と言われるものこそ、論理的に説明する。
漢字は、形成文字や会意文字といった漢字の成り立ちを。
英単語は、スペルと発音のルールを意識しながら紹介する。
納得したことは忘れないと分かっていたので、ロジックを伝えたうえで、考えながら覚えるための時間を取りました。
一見、プリントを眺めているだけのように見えますが、彼は頭の中で自分の知っているロジックを適応させながら単語や漢字を覚えていく。すると、どんどん知識を吸収していきました。

「大学に行きたい!」思いもよらなかった彼のビジョン


定期テストの点数にも反映されていきます。入塾前、5教科合計で150点も届かなかったものが英語と数学だけで130点を超え、5教科合計では300点を突破するように。
段々彼の中でも理解に変化が訪れ、「どうしてこれはこうなるのですか?」という質問が増えてきました。事象を見て、自分でロジックを考え、それが分からないときは質問する。ひとつひとつ自分で納得を積み重ねていくようになりました。

そんなある日、D君の口から意外な言葉が出てきます。

「俺、大学に行きたい。」

これには私たちもびっくりでした。D君から大学の話が出て来るなんて!お家の方もまさか夢にも思っていなかったようで、嬉しさと驚きに溢れた顔で話をしてくれました。

今まで、頭の中でごちゃごちゃに散らばっていたものが、ロジックを知ることによって有機的につながりを持ち始めました。
その結果、彼は理工系の分野に興味を示したようです。エンジニアになって機械を作りたい、自分のアイディアをどこまで形にできるか挑戦してみたいと話してくれました。
今、彼は大学進学を目指して高校で頑張ってくれています。
いつか、彼の設計した機械を見れるかもしれない……今の私たちの楽しみの一つです。