定期テスト対策から、難関国公立大受験まで!吹田市佐井寺中・片山中・第二中エリアの個別指導は対話式学習館ホームズ!

エピソード2EPISODE #02

■ 実施例② 中2女子 テニス部 Bさん

―私は、お母さんが思っているようなニンゲンじゃないから!
すぐ決め付けて分かったつもりなのが許せない…―

公立中学に通うソフトテニス部のBさん。
中学1年の夏から、「学校だけの勉強ではダメらしいから」という理由で、同じ中学校の生徒が集まる地元の塾に通っていたが、徐々に成績が下降線をたどる。

人あたりも良く、いつも朗らかで活発な女の子。
勉強はそれなりでいいから、もっと友達と遊びたいし、テレビも見たいし、部活も頑張りたい。

  • 「うちの娘が塾で友達としゃべってばっかりで、集中して勉強していないのでは?」
  • 「宿題は答えを写さずにちゃんとやっているのか?」
  • 「寄り道せずに時間どおりに、塾へ行っているのか?」
  • 「自習すると言っているけど、仲のいい先生とくだらない話ばかりしているのではないか?」

母親の中でいくつもの疑念が巻き起こり、たびたび塾に電話をして様子をたずねたり、ダメだと分かりながらも、学校に行っている間に塾のテキストやノートを確認したり、「ちゃんとうちの子のこと見ていますか?」と幾度となく塾へ電話をしたり、いてもたってもいられない母親。

何気ないときに塾の先生が「お前のお母さん、すごく心配性やんな。大変やな。この前こんな電話があってさ――」とBさん本人に告げたあたりから、母娘の関係はどんどんこじれていく。

そこから持ち直したお話です。

Bさんが中2のときの2月、カワサキのもとに1本の電話がかかってくる。
「いま塾を探しているのですが、娘が塾でおしゃべりばかりしているから成績が下がって、この1月で辞めてきたんです。」

学習塾の営業担当スタッフ*の場合だと、「チャンス!」と考えて、すかさずにこのように返す場面だろうか?
「当塾では、それぞれの席に仕切りを設けてあるので集中しやすい環境ですし、間に講師がいるので、おしゃべりをしようとしてもすぐに注意できます。あと、当塾のオリジナル教材の××を使えば…」

という感じで、ひとつの情報を与えれば、そこに売り込みトークが入ってくる。
ひとまず母親のニーズに答える。
とりあえず入塾させてから様子をみて考える。

あと、成績と志望校を聞き出して、「●●高校だったら、うちにお任せください。××年連続で当塾が合格実績トップです」と聞いてもいない情報を伝えられる。

そういった感じだろうか?

集団指導の塾の場合は、授業を担当している先生が応対を行うことが多い。
理系の先生だと、英語が苦手だという話をしているはずなのに、気がつけば苦手でない数学の話にすり替わっていたりすることもしばしば。
個別指導の塾や映像授業の場合は、直接指導する講師ではなく、営業専門のマネージャであることの方が多い。
各教科の突っ込んだ話でなく、仕組みやシステムが中心の話ばかりになれば、ほぼ間違いなく営業の専門スタッフです。

しかし、カワサキから見えていたものは、それとは大きくかけ離れたものだった。
カワサキの頭の中によぎったのは、次のようなことだった。

  • 大きそうな原因が目立ちすぎて、その裏にある、もっと本質的な原因が見えにくくなっているのでは?
  • 成績不振から始まった不安がどんどん広がって、お母さんの心を不健全にしている?
  • 子どもの良い部分、できる部分に関する話が全く出てくる気配がない?
  • その状態を、お子さま本人はどう受け止めているのだろう?
  • お母さんもお子さまもHAPPYになれる形って、どんなものだろう?

表面的な解決をしても、きっとまた同様のことが起こるだろう。
お母さんもお子さまも、両方からアプローチしていかないと、立て直しは難しそうだな。。。

まずは双方から、じっくりと話を聴くために、

  • まず母親とお会いして詳しく話を聞かせてもらう。
  • 次に、1度の体験授業にBさん本人に来てもらって、本音の部分を聞き出そう。

そういう方向のご提案をした。

母親との対談

「まずは、お子さまに対して、信頼できないこと、疑ってしまうこと、好きになれない部分など、主観や想像でも全然かまわないので、できる限り多く教えてください」
―大きなことから小さなことまで、驚くほど多くのことが挙がる。
その中で核となるものに気付きカワサキは提案する。
「好き嫌いの感情と、成績や勉強との関連をいったん分けて考えてみましょう」
そうやって整理していく中で母親が結論を見出す。

下がっていく一方の成績をみて、何とかしてあげたいという思いながら見る娘の姿が、母親の思いと食い違い過ぎて、どんどん不安になっていた。
その不安な気持ちを埋めるために、自分の心を守るために、疑い、責め、追い立てる動きをしてしまっていた。

その気持ちを自覚することができれば、十分だ。
「あとは、お子さまの話を僕が直接きいてみたあとで、三者面談をやって、本音を打ち明け合う場を設定しましょう。」

Bさんとの対談

体験授業を受け終わり、分かりにくい部分が理解できてスッキリしたのか、明るい表情のBさんに声をかける。
「この後、20分ほど話する時間もらえへんかな?」
Bさんは快く承諾してくれた。
「お母さんの話なんやけどさ―」
母親の名前を出した瞬間に一気に表情が曇るBさん。
その変化に気付きながらも続ける。
「お母さんって、どんな時に喜んでる?」
ほとんど間を置かずに、スラスラと出てくる。

  • 前よりもテストの点数が上がったとき
  • テレビの前から自分が先に離れたとき
  • 宿題ちゃんと終わらせてから遊んでるとき

他にもいろいろ出てきたが、ある程度並べたあたりでBさんが続ける。
「でも、喜んでるというよりは、思い通りになって安心しているだけ。点数とって、良い子にしてない私は全部否定されてしまうし。」
カワサキ自身よりも、母親よりも、Bさん本人がいちばん客観的に物事を捉えていることが伝わる。
「よく分かってるね!すごいやん!」と上っ面の言葉でひとまず褒めることもできたが、その言葉を飲み込んで、カワサキは切り出す。
「へぇ。そこまで見えてるんやったらさ、本気でお母さんを喜んで泣かせるような、めっちゃでっかいサプライズ、一緒に計画やらへん?」
「オレも中学のとき、似たような感じで親のこと見てたんやけど、今から思えば、逆にめっちゃ喜ばせることもできたんやろなって何度も後悔することがあるねん。勝手にオレのことを重ね合わせて迷惑かもしれへんけど、オレのリベンジに協力してほしい!」
(勢いで大きなこと言いました、ごめんなさい。だけど、結果オーライということで許してね、Bさん。)
頭を下げてお願いすると、「先生がそこまで言うんやったら、うちも協力したるわ!」と非常に良い表情で返事をくれた。

そして、三者面談

まずは母親から、自分の過ちを振り返り、素直な気持ちを告げる。
「本当に、ごめんね。」
そして、Bさんも素直に自分の過ちを反省し、謝罪の気持ちを伝えた。
その後で、Bさんが続ける。
今まで、成績とかどうでもいいって思ってたけど、改めていろいろ考えてみて、K高校(公立トップ校)を目指そうと思うねん!
確かに今の成績やと、学校の先生にも難しいって言われると思うけど、カワサキ先生と話して、やれる気になってきたから!
いけるかどうかは、フタ開けてみないと分からへんけど、やり抜いてみるわ!

―――彼女は中3の2学期になって「あと一歩」の成績までたどり着いたものの、学期末の懇談で担任から難しいと言われる。
それでも諦めずに戦い抜いた、この続きのお話は、またの機会にお伝えします。

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